奥深い森の中 青い泉の真ん中で 姫は幸せと共に生き 安らぎと共に在りました 愛する者 愛される者 暖かさに囲まれて 日を暮らしておりました けれど人々は そんな姫を憎んでいたのです 姫がいつ 強大な力を揮い 害となるか 人々はそれだけを気にかけていました 魔女は分からなかったのです 姫は震えを遂に知り 恐怖を遂に悟りました 愛する者 愛される者 喪失に包まれて 時を数えておりました けれど人々は そんな姫を許さなかったのです 姫に今 黒金の刃を振るい 無と還す 人々はそれだけを考えていました 魔女は気付いていたのです 姫を愛した泉の獣が 激昂に猛り狂いました 姫を呪った人々が 潰える日暮れまで暴れました 無垢な姫 優しい花 清く澄んだいつかの雫 塗り潰された花瓶を拾い おお憎らしや人間よ 我らが何ぞしたのかや 我らが何ぞしたのかや 我らは糧を探すのみ 生くるの糧を探すのみ よもやそれを悪とすか 必死に餌を吊るこの所業 それする我らを悪とすか 糸を紡ぐの代償は 痩せて枯れ果てつこの躯 我らの所業を悪とすか 生くるの所業が災いか なれば主らも同じこと 殺さず殺し奪わず奪い 命忘れの罪こそ深き 網掛け 隠し 捕らえよう 今こそ暴け その罪を 傲岸となるその罪を 咎無き我らを滅ぼした 今こそ暴け その罪を 遊びの時間は終わりだよ そろそろ帰っておいでなさい 暗い夜道は嫌いだろう 白いお化けは怖いだろう お早くおしよ 待ってるよ 温いお布団敷いたから 大丈夫だよ 降りといで そろそろ還っておいでなさい 戯びの時間は終わったよ はむさんど つくりましょ ぱんをにまい れたすをにまい そのなかに はむをいちまい はむさんど たたみましょ まよねーず わすれてる たたみましょ おりまげて ぱんとれたす はむをはさんで ぎうぎう ぎうぎう ぎちぎち ぎちぎち みしみし みしみし ぶちぶち ぶちぶち たためない うまくたためない うえのれたすは こっちにずるずる したのれたすは こっちにずるずる はむがいちまい とりのこされて はむだけが ぱんのなかに が ぶ り にわか雨が降った 予想していたというのに こうして全身を打たれている だって蜂の小さな目には 傘は大きすぎて入らない 湿った空気の匂い 捻じ曲がった青空 運ばれてくる花の香りは 強すぎて甘すぎて 心を蝕まれないように 蜂は耳を塞いだ 激しい音を立てて 雷を置き去りにして にわか雨は降り続く 土を黒く染め上げる 明日に訪れる色は青色で 訪れる空はきっと天気雨 綺麗な太陽を夢に見ながら 針を忘れた蜂の巣は 眠り方を知らないままに 銀細工の下で目を閉じた |